花火大会と犬
夏の一大イベントのひとつ「花火大会」。
飼い主にとっては心躍るイベントでもあり、ぜひとも愛犬と一緒に楽しみたいと思われる方が多い中、当の本人ならぬ本犬は飼い主と同じ気持ちで花火を楽しめるのでしょうか。
結果から言うと、答えは「Noが圧倒的に多い」です。
では、犬が楽しめない理由はどのようなところにあるのでしょうか。
<雑踏>
夜間の人混みは、日常ではあまり経験することがないため、緊張状態が続く
<暑さ>
夜とはいえ真夏の夜は熱帯夜になることも多く暑さが厳しいことや、十分な水分補給が叶わない
<パニックを起こす恐れ>
普段聞き慣れない大きな音が鳴り響く
<飼い主の意識が離れる>
注意が自分に向けられないことによる不安
こういったことが挙げられます。
特に、パニックについては良く見聞きすることの一つではないでしょうか。
とある統計では、犬の迷子届けが一年の中で最多なのは8月であるというデータがあり、SNSでは迷子捜索の拡散希望記事が目につく時期です。
中には、一緒に花火大会へ出かけても平然としている犬もいます。
個体差ということになりますが、環境や音に対してシャイではない犬であってもストレスは感じ、状況によってパニックを起こすことは考えられます。
そうなるとどれだけしつけが入っていても「いつも届くはずの声」は届きません。
また、落ち着かせようとかける言葉が逆効果になる場合もあるのです。
「一緒にいれば大丈夫だよ!」
「そのうち慣れるよ!」
「ビビリだなぁ」
「甘えん坊だね」
場面は違えど、このような言葉をかけたことはありませんか?
もし、その言葉をかけても行動が落ち着かないのであれば、気持ちの行き違いが起きているというサインであり、その時に必要なのは飼い主自身が落ち着いて犬のことを見られる状態になることが最優先です。
飼い主がリラックス状態で上記の言葉をかけるのであれば、ほとんどの場合は犬にしっかり伝わります。
しかし、花火大会に行って一緒に楽しみたいという犬に対する飼い主の無意識の好意が、実は大きなストレスに繋がることや、犬にとって自然体で過ごすことが難しい場所では、飼い主が楽しみに感じているのと同じように犬も楽しいのだと思いたい飼い主の気持ちとは大きく違うことがあるということを知っておくことが大切です。
飼い主はつい、自分の楽しみに夢中になり、目の前の犬のことを見られなくなってしまうことがあるだけでなく、無意識に犬の気持ちを推し量り犬の気持ちを結果的に無視しがちで、そこから始まった気持ちのすれ違いは、何か大きなことが起きるまではなかなか気づけないものです。
花火大会に限った話ではなく、飼い主自身のやりたい事に犬を同伴させたい気持ちになった時には、普段の生活とどのくらい刺激に差があるのかを考え、どちらか一方に我慢しなくてはならないのではなく、お互いにとって心地い過ごし方を見つけようとする意識をもって暮らしたいですね。
犬は、人間社会の中で生きています。
安心して飼い主の判断に任せられるようになることは、犬にとってとても大切なことのひとつです。
お互いの楽しみを尊重しあえる関係づくりを目指し、夏の思い出づくりを楽しみましょう!